業務改革リーダーの心得

オフィスの現場で業務改革に取り組むリーダー達へ、壁を乗り越えてゆくためのノウハウや心得をお伝えします。

業務改革と人工知能

業務改革は使い古された言葉である。 しかし、多くの組織にとっていまだに差し迫ったテーマであり、今後もあと数百年はそうあり続けるだろう。なぜかといえば、自らが関わる組織あるいは世の中が変化し続ける限り、常にそれに対応して仕事のやり方を変える必…

必要に迫られていない業務改革こそが重要

役所でも業務改革は行われている 役所で業務改革が進まないのは、民間企業と違って競争の圧力がないからだ、との指摘がある。組織が潰れる危機感がないから、業務を見直す必要を感じない、というわけである。 確かに、どこかの中央官庁で、トップが音頭をと…

言葉に伝播力を持たせるには

言葉に仕事をさせる 成し遂げようとする改革が大きなものになればなるほど、より多くの関係者を巻き込み、動かしていくことが必要になる。すべての関係者を説得しようとすれば、どうしても時間がかかってくる。このとき、適切なメッセージが自らの活動ととも…

幸運を掴む方法

業務改革の成否は運に大きく左右される。例えば、 ・たまたま取り組みの追い風となるような全社的な見直し方針が打ち出された・たまたま調整先の部門の担当者が融通の効く人に交代した・折良く、有能で経験豊富な部下が配属されたといった幸運があれば、業務…

鉄壁の社内ルールを作り変えさせる方法

どの組織にも、日常業務を円滑に運営するためには、ルールが必要である。しかし、業務環境が変化し、現実にそぐわなくなると、そのメリットは低下し、かえってマイナスの影響すら及ぼす場合がある。そこで、ルールの見直しが必要になるが、いったん構築され…

業務改革がデスマーチプロジェクトに変わるとき

ソフトウェア開発に携わってきた方なら、「デスマーチプロジェクト」という言葉を聞いただけで、フラッシュバックを起こすような、悪夢のようなプロジェクトの1つや2つは、すぐに思い起こすことだろう。 デスマーチプロジェクトとは 「デスマーチ(死の行進…

バカだからこそ問題を解決できる

誰もが問題と思っているが、その実行に必要となる労力に尻込みして、手がつけられないまま放置されている…。そうした厄介な問題は、どの部門、部署にも一つや二つはあるものである。困ったことに、それを解決できる、優秀な人ほど、待ち受ける作業が予見でき…

業務改革にプロジェクトマネジメントは必要か

一般に、ある程度以上の規模のシステム構築では、プロジェクトマネジメント(以下、プロマネ)が必須とされる。そのための方法論もさかんに研究・発表されているが、中でもグローバルスタンダードとして著名なのは、米国の非営利団体PMIが策定しているPMBOK…

業務改善のつもりが改悪になってしまうのは何故か

業務を改善したつもりなのに、かえって非効率になってしまうことがある。例えば、次のようなケースである。 A)データ管理を効率化しようとデータベースシステムを導入したが、ほとんどデータは使われないまま登録作業やメンテナンス作業ばかり増えてしまった…

歪んだ「組織内官僚」とどう向きあってゆくか

複雑怪奇なルールができるまで 組織が大きくなればルールが必要になる。ルールはやがて解釈や状況変化に応じた改訂が必要になる。新しい解釈を示せば、それが新たなルールとなり、一種の判例法のように積み重なってゆく。 解釈や改訂は常に整然と行われるわ…

業務改革リーダーとしての飛躍のチャンスを掴む

1.チャンスを掴めるかどうかで業務の将来が変わる 「業務改善」は定着させ、高度化させるべき「プロセス」であり、「業務改革」は成功させるべき「プロジェクト」である。業務改善では何よりも活動を継続し、プロセスとして組織に定着させることが重要であ…

なぜ業務改革プロジェクトは失敗してしまうのか

以前、オフィスでの業務改革が進まない理由として、製造現場と違って、課題が人間そのものであり、これに対応する有効な方法論が確立されていないためと説いた。業務改革には、こうした問題解決の難しさのほか、プロジェクト運営の難しさがある。 業務改革の…

破壊衝動に身を任せない

誰もが破壊衝動の芽を持っている 人はときに、何かを破壊したい衝動に駆られる。普段は平穏に過ごしていても、いったんストレスの強い環境に置かれ、イライラが募ったとき、そうした衝動に駆られた経験は、誰しもが持っているのではないだろうか。遡れば、我…

業務改革リーダーはアイデアマンでなければならないか

業務改革にアイデアは必要か。これは100%YESである。複雑な問題を解決しようとすると、どうしてもその解決策も複雑に考えてしまいがちである。こうしてがっぷり問題と組み合っていると、複雑な仕組みをどう取り扱うかに心を奪われるあまり、ときに自分達…

どうすれば業務担当者の協力を得られるか

業務改革に不可欠なものを一つだけ挙げるとすれば、それは取り組みに協力してくれる業務担当者だ。業務改革リーダーには、部外の者がアサインされることが多い。特に、大きな業務改革ではある種の専門スキルと資質があった方が都合がよく、また人間的なしが…

なぜオフィスでの業務改革が進まないのか

オフィスでの業務改革がなかなか進まないのは、製造現場を母体として発展してきた業務改善の方法論に替わる、効果的な方法論がないためである。製造現場と、オフィスの現場では、業務改革への取り組み方が異なる。 製造現場での改善対象は、主な相手がもの言…

熱意をもって「悪役」を演じる

部外の者が(社内の他部門の者か、外部コンサルタントかにかかわらず)、業務改革をミッションとして他の部門の業務にメスを入れるとき、業務担当者から、何もわかっていないくせに、といった嘲笑を受けることがある。 はじめてこの洗礼を受けると、誰しも動…

業務改革プロジェクトの途中で新たなアイデアが寄せられた場合

業務改革は、当初練った大きな構想が、現実に直面して後退していくことがある一方、当初は限定的だった改革内容が、プロジェクトの進行に伴って、より拡大したり、ラディカルになったりすることもある。例えば以下のようなケースである。 a) ある問題の原因…

そもそも業務改革とは何を指しているのか

「業務改革」は組織あるところ、どこでも必要性が叫ばれる。組織の中で、過去何度も業務改革のスローガンやキャンペーンを経験し、そのたびに「またか」とうんざりしてきた方も少なくないだろう。業務改革を専門とする筆者自身も十分そうした感覚は理解して…

業務改革に権限は必要か

権限がないから業務改革がうまくいかないと釈明されることがある。 業務改革リーダーの組織内での職位が高いほど業務改革を進めやすいのは事実である。しかし、決定的な要因ではない。新卒採用社員であっても、大きな業務改革を成し遂げることはあるし、幹部…

業務改革へのコンサルタントの利用

ひと昔前は、業務改革の名目でコンサルタントを雇い入れ、その提言を人員削減やシステムの強制的な導入の正当化に使うといったことがしばしば見られた(今でもあるかもしれない)。この場合、コンサルタントによる報告や提言は、予め依頼者たる経営層の意を…

業務改革のすすめ方:基本編(5)

(つづき) ステップ5)承認獲得と解決策の実行 解決策が固まったら、組織承認を獲得し、あるいはこれと並行して、実際の解決策の実行に入る。改革がシステム投資や組織改編を伴うような場合は、この承認獲得も当然、一筋縄ではいかなくなる。他方で、承認…

業務改革のすすめ方:基本編(4)

ステップ4)詳細調査および解決策の具体化 解決の方針が固まったら、業務改革の具体的な中身を詰める段階に入る。的確な解決策を導き出すためには、改革の対象となる業務について、ポイントを絞って調べ抜くことが必要になる。 このとき必ずやらなければな…

業務改革のすすめ方:基本編(3)

(つづき) ステップ3)解決方針とビジョンの明確化 ステップ2までは、業務改革のテーマを決めるための非公式の事前準備活動。ここからがいよいよ業務改革を表に打ち出してゆく段階、すなわち組織内で公式にプロジェクトを始動する段階である。 このステッ…

業務改革のすすめ方:基本編(2)

(つづき) ステップ2)概要調査 テーマが決まったら、次に行うべきは概要調査である。 これは選んだテーマのスジが悪くないか、すなわち、実現可能性がなかったり、他部署で取り組み済みのテーマだったり、そもそも解決すべき課題ではなかったり、といった…

業務改革のすすめ方:基本編(1)

今回から数回に分けて、業務改革の基本的な手順を示していきたい。 業務現場の中で改善すべき課題を認識し、業務改革リーダーとして活動しようとするとき、どこから、どのように取り組みを進めていけばよいか。ここではその流れを追ってゆく。(注:ここでは…

どうしても受け容れられない相手にどう向き合うべきか

今日は少し軽くて、役立つノウハウの話をしたい。 業務改革を完遂するには、多くの関係者を説得しなければならない。特に、改革の対象となる業務の担当者を説得するのは、骨が折れる仕事である。その他にも、無責任に口ばかり出してくるシニアや、横柄で杓子…

業務改革に無理解な上長とどう向き合うか

業務改革リーダーの仕事にストレスはつきものである。典型的なストレス要因としては、以下のようなものがある。 仕事の本当の難しさを、同僚や上司の多くが理解してくれない。(→悪意はなく、単純に難しすぎて分からないのだ) 反対者はそれこそ容赦なく反対…

業務改革のデザインを間違えないために

業務改革にはグランドデザインが必要である。なぜ改革するのかを理念として明確化し、将来像をビジョンとしてイメージできたら、次は、実際の業務改革のグランドデザインを描く段階に入る。 理念やビジョンづくりは、組織の構成員の多くが潜在的に抱いている…

どんなに小さな改革にも、理念とビジョンを

前回のブログで、ビッグバン型アプローチに飛びついてはならないと述べた。しかし、目の前の問題だけ対症療法的に対処していればよいという意味ではない。 必要なことは、どんな小さな見直しであっても、必ず「理念」と「ビジョン」をもって当たること。すな…