業務改革リーダーの心得

オフィスの現場で業務改革に取り組むリーダー達へ、壁を乗り越えてゆくためのノウハウや心得をお伝えします。

業務改革のすすめ方:基本編(2)

(つづき)

ステップ2)概要調査

テーマが決まったら、次に行うべきは概要調査である。

これは選んだテーマのスジが悪くないか、すなわち、実現可能性がなかったり、他部署で取り組み済みのテーマだったり、そもそも解決すべき課題ではなかったり、といったことがないよう確認するプロセスである。

 

スジが悪いのであれば、ここでいったん手を引かなければならない。業務改革においてチャレンジ精神は大事であるし、失敗を恐れていたら何もできない。しかし、使える時間もリソースも限られており、解決すべき課題は他にいくらでもある以上、失敗するリスクも含めて、最も投資対効果の高いテーマを選ぶべきである。

 

この段階では、詳細・網羅的な調査は不要だ。8割くらいの確信をもって、自らが選んだテーマがイケそうかどうか、すなわちテーマが妥当であり、解決できる見込みが十分あるかどうかが確認できれば足りる。

 

このためには、ピンポイントである程度の業務知識が必要となるが、深入するとあっという間に時間を浪費してしまう。勉強はほどほどにして、さっさとその業務に一番詳しい人に、課題の本質を聞いてしまおう。このとき注意すべきは、必ず二番目ではなく、一番詳しい人、そして、その業務に現役で携わっている者に聞くことだ。

 

ある業務を本当に知悉している人は、大抵組織に一人しかいない。この段階で誤った情報や古い情報に基づいて判断を行い、方向性を間違えてしまうと致命的だし、その後の関係者への説得の際にも、"第一人者"の意見を聞いていなかったことは、大きな弱点として残ってしまう。勿論このとき"第一人者"のいうことを鵜呑みにしてはならない。いくら業務に詳しくても、常に最新の情報をフォローしているとは限らないし、その人が誠実とも限らないからだ。

 

この段階で、いわゆる「なぜなぜ分析」が役立つこともある。なぜを5回繰り返すことで真の原因を探っていくという手法だ。これを使う場合だが、現場の業務改革リーダーの仕事は、あくまで最前線にある業務課題を解決することをわきまえ、全社の組織やモラルの問題に安易に還元して、改革が空中分解することがないよう十分、注意したい。(こういう「正論」を使って抵抗する者も少なくない。)

 

あるいは、改善活動でおなじみのQC7つ道具や経営コンサルティングフレームワークを使える場合もあるが、このステップでは、テーマの確からしさを確認できればよいので、無理に取り込む必要はない。自分自身で納得し、確信を得るために必要かどうかで判断すればよい。


<つづく:次回は「ステップ3)解決方針とビジョンの明確化」>

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