業務改革のすすめ方:基本編(1)
今回から数回に分けて、業務改革の基本的な手順を示していきたい。
業務現場の中で改善すべき課題を認識し、業務改革リーダーとして活動しようとするとき、どこから、どのように取り組みを進めていけばよいか。ここではその流れを追ってゆく。(注:ここでは、ある程度、業務課題が見えてきている段階からの手順を示していく。課題の発見をテーマとする場合は、その前段として別の手順が必要になる。)
どのような業務改革でも基本的な流れは同じであり、以下の5つのステップとなる。これらのうちいずれのステップが抜けても成功は覚束ない。
【業務改革の基本的な手順】
ステップ1)テーマ設定
ステップ2)概要調査
ステップ3)解決方針とビジョンの明確化
ステップ4)詳細調査および解決策の具体化
ステップ5)承認獲得と解決策の実行
もう少し正確に言えば、これらすべてのステップを踏んでも失敗する場合は失敗する。100%の成功が保証された業務改革など意味ある改革とはいえない。逆に、これらのステップを踏まなくても成功することはある。しかし、長い目で見たときの成功率には格段の差が出てくる。筆者の感覚では、闇雲な改革は成功率2割程度であるのに対し、以下のプロセスを踏んだ改革は成功率8割を超える。
条件によっては、既に取り組み済みのプロセスを省略できる場合はある。しかし、必ず、何らかの形でこれらのすべてのプロセスを通っていることが必要である。以下、順にそれぞれのステップでの取り組みを解説してゆく。
ステップ1)テーマ設定
業務現場の数ある課題の中から、業務改革リーダーたるあなたが取り組むべきテーマを明確にする。
①何が課題か(◯◯確認作業の効率化)
②現状どのような問題が起きているか(◯◯の確認に手間がかかっている)
③どのような状態を実現すべきか(◯◯の確認作業が不要となっている)
問題を解決するだけでなく、プラスの価値を生み出す改革もあるはずだ、という指摘もあろうが、ここでは、現状において、そのプラスの価値が実現していないことも含めて「問題」としておく。また、②をAsis(現状)、③をTobe(将来像)、そのギャップを①課題として定義することもあるが、これも要は同じことを言っており、基本的なアプローチは変わらない。
注意すべきは、この段階では方法論は決め打ちしないことだ。課題と方法論は別のものだ。課題に対する方法論として正しいのかどうかをよく確認しないまま、方法論だけ先に決め打ちしてしまうと、万が一、方法論が間違っていた場合に取り返しがつかなくなる。課題は、いくつも解決方法が思いつく程度に、抽象的な内容に留めておく。
以上の検討を通じて、まずはぼんやりとした問題意識を、はっきりとした業務改革のテーマとして結晶化しよう。何が問題で、どうしたいのか。これがすべての出発点である。シンプルに、明確に、分かりやすく、これからなすべきことを表現しよう。
<つづく:次回は「ステップ2)概要調査」>
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