業務改革リーダーの心得

オフィスの現場で業務改革に取り組むリーダー達へ、壁を乗り越えてゆくためのノウハウや心得をお伝えします。

業務改革プロジェクトの途中で新たなアイデアが寄せられた場合

業務改革は、当初練った大きな構想が、現実に直面して後退していくことがある一方、当初は限定的だった改革内容が、プロジェクトの進行に伴って、より拡大したり、ラディカルになったりすることもある。例えば以下のようなケースである。

 

a) ある問題の原因を追究するうちに、より根本的な問題へと行き当たり、当初の想定よりも抜本的な改革へと昇華していった場合

b) ある問題の解決手順が他の問題にも適用可能であることが明らかになり、より包括的な改革パッケージとして取り組むことになった場合

c) 当初想定した解決策とは異なる、コロンブスの卵のような斬新な発想の解決策を思いついた場合

d) ある問題の解決を進めていくうちに、その周辺領域で見落としていた問題が発見され、提起された場合

 

こうしたアイデアはプロジェクトのフェーズにかかわらず、突然舞い込んでくる。ときにはせっかくゴールが見えてきたところなのに、大きくやり直しが必要になる場合もあり、リーダーは厳しい決断を迫られる。このときアイデアを受け入れるか、拒否するかがリーダーとしての器を試されるところである。良い提案を拾うことができれば、改革の価値が大きく増す。

 

特に、「d」が現場から上がってきたときは、小さな声を聞き逃さないよう気をつけよう。業務改革の本質は細部に宿る。これを見過ごしたがばかりに後で大きな躓(つまづ)きとなることがあるし、逆に、こうした小さな声をしっかり拾えば、業務担当者の信頼感はぐっと向上する。みだりに否定したり却下したりすれば、二度と建設的な提案はしてくれなくなるだろう。

 

他方で、一見、建設的に見える「a」の提案が、本音では改革を否定したいという感情を背景としている場合もある。新たな視点なのでハッとさせられることもあるのだが、大抵こうした声を寄せるのは、業務改革の内容をイメージでしかとらえていない部外の者である。ほとんどの場合、的外れなので、思わずその場で流されて対応を引き受けてしまったりしないよう注意しよう。

 

新たな提案を受けたときは、その場では肯定も否定もせず、いったん引き取って検討することにしよう。そして提案の妥当性について冷静に概要調査を行い、判断の結果をはっきりと相手に伝えるようにしよう。この手順を誰に対しても平等に適用するのだ。いったん引き取った上で、理由を添えて正式な回答を伝えれば、それがNOであっても、感情がこじれることは少ないものである。

 

プロジェクトの途中で新たなアイデアを提案されたら、必ずいったん引き取り、後日正式回答することを心がけよう。

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