業務改革リーダーの心得

オフィスの現場で業務改革に取り組むリーダー達へ、壁を乗り越えてゆくためのノウハウや心得をお伝えします。

バカだからこそ問題を解決できる

誰もが問題と思っているが、その実行に必要となる労力に尻込みして、手がつけられないまま放置されている…。そうした厄介な問題は、どの部門、部署にも一つや二つはあるものである。困ったことに、それを解決できる、優秀な人ほど、待ち受ける作業が予見できてしまうため、担当することに躊躇し、なんとか知恵を働かせて敬遠しようとするものである。こうした問題に取り組むことができるのは、ある意味「バカ」になって、その問題に飛び込むことができる者だけである。

"厄介な問題"では、個人差は出にくくなる

職場には、賢い人と、そうでない人がいる。ある課題があるとして、反射的に的確な解を導き出せてしまう賢い人がいる一方、四苦八苦した挙句、不完全な解しか出せない、あまり賢くない人もいる。個々の課題の解決能力には、それこそ雲泥の差がある。しかし、誰もが敬遠する"厄介な問題"においては、そう差がなくなる。なぜなら、頭を使う場面が少ないから、差が出にくくなるのである。代わりに使うことになるのは、多大な作業工数、地道な根回し、ストレスのかかる組織間調整である。これらは、賢い人であっても、そう省略できるものではない。

「バカ」にとって、"厄介な問題"こそが勝負の土俵

仕事で使う力を「脳力」と「労力」に分けて考えてみる。個々の課題で使う力の内訳は、「脳力:労力=9:1」といった按配である。これだと、「脳力」如何によって、生産性には10倍の差が出る。他方、誰もが嫌厭する大問題では、「脳力:労力=1:9」といった具合になり、「脳力」による差はずっと小さくなってくる。ゆえに、自分の賢さに自信がない人にとって、こうした課題こそ、賢い人と対等に渡り合える格好の土俵なのである。長年の懸案を解決すれば組織への貢献も大きい。誰もが課題の大変さを知っているから、評価される。チャレンジしない手はない。

「バカ」はどうやって"厄介な問題"に取り組めばよいか

では、どうやって、そうした課題に取り組めばよいのだろうか。割合は少ないとはいえ、「脳力」は必要だ。また、方針決定のときなど要の部分で「脳力」が不足すると、作業自体の方向を見誤ってしまう危険がある。これを防ぐ方法はたった一つしかない。賢い人に、「脳力」を使う、1割の部分を補ってもらうのである。賢い人であっても、1割程度(定例会議への参加、資料のレビューなど)であれば、そう参加に躊躇はしないものである。上長も、1割程度であれば、賢い人の時間を借りることを許してくれるだろう。これだけで、最大の欠陥は解決できてしまうのである。

「バカ」だからこそ組織を変えてゆける

賢い人の部分的な参加と上長の承認が得られる見通しが立ったら、あとは思い切って「バカ」になり、問題解決に飛び込んでみよう。覚悟を決め、汗を流し、諦めずに継続すれば、解決できない問題はないと言っていい。一途に課題に取り組み、苦しむ姿を見れば、同僚も陰日向になって気遣ったり、助けたりしてくれるだろう。ここぞという場面では、上長も虎の子の支援メンバーを投入してくれるだろう。自らがバカになり、一途に前に進むからこそ、周囲を動かし、課題を解決し、組織を変化させていけるのである。

"厄介な問題"に取り組むことで得られるもの

そうしてプロジェクトをモノにすれば、「バカ」だった業務改革リーダーにも、経験を通じて得られた知恵と、裏付けある自信がもたらす迫力が身についてくる。これは自分にとって、どんな仕事にも通じる、かけがえのない財産になる。プロジェクトの成果自体も確固たる実績となり、組織内での評価につながる。その結果、分不相応に昇進したとしても、賢い人の使い方をマスターしているから心配はない。もう一度いう。「バカ」にとって、こういう大問題に取り組まない手はない。

 

何もしない「バカ」は、組織の荷物でしかない。賢い人は手近な問題しか解決しようとしない。行動するバカこそが、組織を変えてゆくのである。

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