業務改革リーダーの心得

オフィスの現場で業務改革に取り組むリーダー達へ、壁を乗り越えてゆくためのノウハウや心得をお伝えします。

業務改善と業務改革はどこが違うのか

業務改革と業務改善は混同されることが多い。たしかに両者の間に明確な線引きがあるわけではないが、それぞれに必要とされるスキルは全く異質のものであり、下手に混同すると、不適合なリーダーをアサインしてしまいかねない。両者は本質的に全く別の取組みと心得るべきである。

 

では、両者の間にはいったいどのような違いがあるのだろうか。特に重要と思われる点をいくつか挙げてみたい。

一、業務改善とは既存の仕組みの上で行う工夫の積み重ねであり、業務改革とは既存の仕組みの部分的破壊と建設である。

一、業務改善とは継続的にPDCAを回していくプロセスであり、業務改革とは特定の目的を持つ一過性のプロジェクトである。

一、業務改善は運動であり、運動をやめれば効果が低下するが、業務改革は仕組み自体の変革であり、いったん成功すれば自ずと効果は永続する。

一、業務改善は一般に全員参加を指向する運動だが、業務改革はリーダーと少数の協力者が、周囲を巻き込みながら牽引していくうねりである。

一、業務改善は一定の手順を踏めば多かれ少なかれ誰もが実践し。成果を上げることができるが、業務改革は、それに向いた資質を持つリーダーでなければ完遂することはできない。

一、業務改善には、協力しない者はあっても積極的に反対する者は通常いないが、業務改革には必ずといっていいほど反対者が出てくる。

 

最後の点だが、実のところ、反対者が出ない取り組みなど、本当の業務改革とは言えない。過去の業務のやり方を否定するのだから、反対がない方がむしろ不自然である。

 

従って、業務改革リーダーには、その反対を乗り越える強靭な心臓とロジカルシンキング能力、コミュニケーション能力といった武器、そしてそれらを総括したリーダーシップが要求される。

 

しかし、そんな人材など、そうざらにいるものではない。また、そうした能力は他の職能でも役立つがゆえに、また、業務改革のようなバックオフィスでの活動は、傾向的には、フロントでの華々しい活動より評価されにくいがゆえに、どの組織でも業務改革のリーダーを欠き、改革は一向に進まないのである。

 

マネージャは、業務改革リーダーの存在の希少性と仕事の価値を正しく評価しなければならない。業務改革リーダーは、少なくとも短期的には、正当な評価を得ることは容易ではないことを覚悟しなければならない。ただし、どの仕事でもそうだが、真摯に自分の使命に打ち込んでいれば、必ずそれは誰かの目に留まる。そして、いつか報われるものである。

 

私はこれから、業務改革リーダーたらんとする方々のために、培ってきたノウハウやスキル余すことなく伝えていきたいと思う。私は、業務改革のリーダーの資質は、天与のものではなく、意欲さえあれば、後天的に身につけ、高められるものと信じている。だからこそ今こうしてブログを書いている。

 

業務改革リーダーには覚悟が必要である。いかなる困難をも乗り越えて組織を変えていこうとする覚悟を持つ者こそが業務改革リーダーなのである。

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