業務改革リーダーの心得

オフィスの現場で業務改革に取り組むリーダー達へ、壁を乗り越えてゆくためのノウハウや心得をお伝えします。

業務改革に権限は必要か

権限がないから業務改革がうまくいかないと釈明されることがある。


業務改革リーダーの組織内での職位が高いほど業務改革を進めやすいのは事実である。しかし、決定的な要因ではない。新卒採用社員であっても、大きな業務改革を成し遂げることはあるし、幹部層の者がリーダーであったとしても、お茶を濁して終わることは珍しい話ではない。

 

なぜか。
業務の仕組みの骨格をつくるルールは、通常、組織の上位レベルの意思決定によって決まっており、もし権限に頼って仕組みを変更しようとするのであれば、これを超える権限が必要である。しかも、大きな組織では仕組みが網の目のように張り巡らされているので、迂闊に手を触れるわけにもいかない。結局、仕組みを所掌する部門の説得が必要であり、それは他部門の者の権限によっては、たとえそれがどれだけ高い職位の者によるとしても、強制できないからである。

 

結局、業務改革の成否は、リーダーが関係部門を説得・調整し、改革をまとめ上げられるかどうかに尽きるのであって、権限の有無とは直接関係がない。せいぜい職位が高い方が顔が広いことが多く、関係部門との調整の際に顔をつなぎやすかったり、論点を巡っての対立があった場合に、経営層の意向を把握しやすい、といった程度であって、相対的な有利性でしかない。それよりもリーダーの資質や覚悟の有無の方が決定的に重要である。

 

組織内での立場に関して、唯一、必要となるのは上長からの業務改革リーダーとしてのアサインである。これだけはどうしても得ておかなければならない。業務改革リーダーがどの範囲の業務改革をアサインされたかによって、実現できる業務改革の範囲が決まる。全社の業務改革リーダーにアサインされれば全社の業務改革リーダーになり得るし、1セクションのリーダーにアサインされればそのセクションの業務改革リーダーになるのである。あとは本人の力量と覚悟と運次第。これがなければ、代表取締役であっても業務改革は失敗する。

 

本人の覚悟があれば、誰もが業務改革リーダーになり、改革を成功させる機会を得られるのである。

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