業務改革リーダーの心得

オフィスの現場で業務改革に取り組むリーダー達へ、壁を乗り越えてゆくためのノウハウや心得をお伝えします。

そもそも業務改革とは何を指しているのか

「業務改革」は組織あるところ、どこでも必要性が叫ばれる。組織の中で、過去何度も業務改革のスローガンやキャンペーンを経験し、そのたびに「またか」とうんざりしてきた方も少なくないだろう。業務改革を専門とする筆者自身も十分そうした感覚は理解している。かつて同僚が、まともな経営戦略を打ち出せない経営者ほど、内向きの業務改革に逃げたがるんだよ、と言っていたが、当時はその言葉に強く共感したりもした(今ではそうは考えていない)。

 

さて、かほどに使い古された「業務改革」という言葉だが、その使われ方は千差万別、十人十色といってよい。ざっとウェブで記事を拾ってみるだけで、実に様々な使われ方をしていることが分かる。たとえば、

 

・システム導入に伴う業務の刷新のことをいう場合

・全社的な業務の見直し運動のことをいう場合

・ビジネスモデルの変革のことをいう場合

・業務改善を意気込みを込めて総称する場合・・・

 

といった具合である。決まった定義があるわけではないので、どれが正解ということもない。また、「業務改善」や「BPR」といった類縁の言葉との境界も明確ではない。場合によっては、同一執筆者の同一著述の中で混用されていることさえある。

 

ある言葉の定義が人によって食い違うことは、どこにでもある話だが、こと業務改革については、あまりに多義的であり、かつ、日常の中に馴染み過ぎているがゆえに、組織の中で何かを変えることは、あまねく業務改革と称することができるし、ある限られた活動に絞りこんで定義することもできてしまう。

 

したがって、業務改革を人に説くときは、自分が意図する業務改革とは何を指すのかを定義することが不可欠になる。それは自分達がいったい何をしようとしているのかを説明することとほぼ同義である。この定義がなければ、その「業務改革」活動に対し、ある者は、自分に都合のよい期待を抱いた挙句に失望し、ある者は、自分の都合が悪くなることへの警戒感を抱いて徒らに抵抗したりするのである。

 

筆者自身は、業務改革とは「既存の業務の仕組みの一部を破壊し、作り変えること」と考えている。既存の業務の仕組みを前提にブラッシュアップすることを「業務改善」、新しい仕組みを再構築することを「BPR」と位置づけ、これらと区別して考えた方が、取組みのアプローチを理解しやすいからである。

 

業務改革を人に説くときは、必ず自らの業務改革は何を意味するのかを定義することにしよう。

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