業務改革リーダーの心得

オフィスの現場で業務改革に取り組むリーダー達へ、壁を乗り越えてゆくためのノウハウや心得をお伝えします。

必要に迫られていない業務改革こそが重要

役所でも業務改革は行われている

役所で業務改革が進まないのは、民間企業と違って競争の圧力がないからだ、との指摘がある。組織が潰れる危機感がないから、業務を見直す必要を感じない、というわけである。

確かに、どこかの中央官庁で、トップが音頭をとって省内の業務を刷新した、といった話は聞いたことがない。しかし、役所においても、個々の現場レベルでは、ドラスティックに自らの業務を変えることは、現実にある。例えば、急激な処理件数の増加に旧来の体制では追いつかなくなり、必要に迫られて業務を大きく見直す、といったケースである。ここまで書くと、ああ、ではつまり、必要があるからこそ業務改革は行われるのだな、と思ってしまいそうだが、そう話は簡単ではない。

民間企業だから業務改革をするとは限らない

民間企業でも、潰れる会社は潰れる。毎年、1万もの会社が倒産しているのだ。事業環境が悪化しているにも関わらず、旧態依然とした体制に胡座をかいているうちに、抜き差しならない状況に陥ってしまう、そんな茹でガエルのような会社、あるいは事業部門は、そこかしこに存在する。そうした部門がない企業を探す方が難しいくらいだ。日々競争に晒されている民間企業にとって、絶え間ない業務改革は差し迫った必要である。しかし、必要を感じているからといって、行動できるわけではないのだ。

役所は倒産こそないものの、社会的な監視の目も厳しく、多くの組織が慢性的な人手不足状態にあるので、これもやはり極端な非効率には是正の圧力がかかる。また、自治体であれば、夕張市のように実質破産することもあり得る。

つまり、役所でも、民間企業でも、業務改革の必要を感じている組織・部門は一部に過ぎず、この点、両者の違いは、程度の問題でしかないのだ。

必要を予見できるリーダー

さて、世の中には、こうした必要に迫られておらず、まだ多くの構成員が危機意識を持っていない中で、いち早く危機を予見し、先手を打って自らの業務を見直すリーダーもいる。こうしたリーダーが行動を起こす動機は、目の前の必要ではない。彼らを突き動かすのは将来の必要である。彼らには将来組織が、事業がどうなっていくのかが見えている。そして、待ち受ける不幸なシナリオを避けるために、あるいは、逃すかもしれないチャンスを掴むために、行動するのである。

つまり、業務改革のリーダーには二種類いるということだ。必要に迫られて行動するリーダーと、必要を予見して行動するリーダーである。どちらのタイプとも、民間企業にも、役所にも、一定の割合で存在する。しかし、役所では、組織の中での業務改革の優先順位が低く、ポストへの思惑などから足を引っ張られることが多いため、後者のタイプの人間が活躍できる機会が非常に少ないのだ。だから常に役所は、時代より遅れ、社会経済の発展の足を引っ張るように見えるのである。

ある組織が時代の先を進めるか、時代に取り残されるかは、必要を予見できるリーダーがどれだけ活躍の機会を得られるか次第なのである。 

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