幸運を掴む方法
業務改革の成否は運に大きく左右される。例えば、
・たまたま取り組みの追い風となるような全社的な見直し方針が打ち出された
・たまたま調整先の部門の担当者が融通の効く人に交代した
・折良く、有能で経験豊富な部下が配属された
といった幸運があれば、業務改革は一気に進展する。逆に、これと反対のことが起きれば改革は一気に失速する。
取り組みの成否が、業務改革リーダーの力量や努力とは関係ない要因に左右されてしまうのは、辛いところではある。しかし、こうした運/不運の波の中で、確実に幸運を掴む方法がひとつだけある。それは諦めずに待つこと、である。
外部状況は絶えず変化してゆく。ある一時点のみを断面で見れば、運/不運というものは確実にある。しかし、5年程度のスパンで見れば、不運が絶えることなく続くことはまずあり得ない。同じ担当者が同じポストに永久に居座り続けることはないし、経営方針や事業環境が永久に継続することもない。
必要なのは、その時点で直面している状況が、正面突破すべきものなのか、いったん引いて立て直すべきものなのか、を冷静に見極めること。そして、いったん引いた場合でも諦めず、チャンスを伺いながら、待つことである。これができる人は、確実に幸運を掴むことができる。
これらは当たり前のことに見えるが、実に難しい。「人間はみな自分の見たいものしか見ようとしない」(カエサル)。そして、しばしば状況判断を誤り、無理すべきでないところで無理をして痛手を負ったり、あと少し待てば状況は好転したのに、放棄したりしてしまう。これは、人間の限界であり、性でもあるといってもよい。
しかし、だからこそ、なるべく冷静に状況を見極めようと努力すること。そして、いったん待つと決めたら何年でも待ち続けると、腹を決めることである。これらが実践できれば、状況の変化に感情的に右往左往するよりも、幸運を掴む可能性は確実に高くなる。
歴史上、最後に幸運を掴んだ者の多くは、状況の変化を待つことができる人だった。
それは業務改革においても、同じである。
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